最新機種のマシニングセンタでは「ストレージ容量は1GB以上!」といった大容量をうたっています。
しかし実際に使ってみると、メモリ容量は余っているのにプログラム登録数の上限に達してしまい、新しいプログラムが登録できないといった状況に遭遇することがあります。
古い機械であれば容量そのものが小さいため仕方ありませんが、最新機でも同じような制約が残っていると「詐欺じゃないか」と感じてしまう人もいるでしょう。
今回は、この「プログラム登録数の上限問題」への対策をまとめます。
対策
不要なプログラムを消す
最もシンプルな方法は、使わないプログラムを削除することです。
ただし、削除前にバックアップを必ず取っておく必要があります。
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新しいプログラムを入れる → 別のプログラムを消す
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数か月後に再度必要になれば → 再度コピーして入れ直す
この繰り返しは非常に手間がかかり、バックアップ忘れのリスクもあります。
サーバーを活用する
会社にネットワーク環境がある場合は、サーバーを経由してプログラムを管理するのがベストです。
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サーバーにプログラムをアップロード
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機械をLANで接続し、サーバーから直接読み込み
これにより、機械の登録数や容量を気にせず運用できます。
ただし、ネットワーク環境が整っていないと導入は難しいのが課題です。
プログラムの数を減らす工夫
プログラムを整理することで登録数を削減できます。
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メインプログラムに雛形やパスをまとめる
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サブプログラムを最小限にとどめる
ただし、この方法はプログラムが煩雑になりやすく、編集性が落ちるため実務ではあまり好まれません。
サブプログラムを1つにまとめる
マクロを使えば、サブプログラムを1つに集約できます。
(例)メインプログラム
N1
#101=100
G90G00G54X0.Y0.G43Z100.H10M1
S2000M3
M8
M98P1000
M5
M9
G00Z100.
N2
#101=200
G90G00G54X0.Y0.G43Z100.H11M1
S1000M3
M8
G98G81Z-1.R3.F500.L0
M98P1000
G80
M5
M9
G00Z100.
M30
(例)サブプログラム O1000
O1000
GOTO #101
N100
G90G00X10.Y10.
G01Z-2.F500.
G03J-5.
G0Z3.
M99
N200
X10.Y10.
X20.
X30.
M99
解説
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O1000に入ると、変数
#101
の値に応じて指定シーケンス(N***)へジャンプ -
各シーケンスの最後にM99を入れてメインに復帰
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サブプログラムはO1000だけで済む
これなら登録数を大幅に削減可能です。編集時はO1000が長くなるため探すのが面倒ですが、検索機能を使えば問題なしです。
まとめ
大容量ストレージを搭載していても、プログラム登録数の制限に悩まされるケースはあります。
対策としては、
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不要プログラムの削除(リスクあり)
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サーバー運用(最適だが環境依存)
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プログラム整理(実用性に難あり)
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マクロ活用でサブ1本化(現実的な対策)
の4つが考えられます。
特にマクロを活用してサブを1本化する方法は、登録数制限の回避と効率化を両立できる有効な手段といえるでしょう。